プレマネーとポストマネーがわかればスタートアップファイナンスがわかる✅図解 – 企業の価値が上がる仕組みとは?

スタートアップが成長していくには資金が必要であり、VCがバックについて成長速度をあげていくスタートアップは、調達した資金を燃料にして成長します。お金の使いっぷりをあらわす指標は資金燃焼=キャッシュバーンと言われます。

スタートアップは資金調達ラウンドを何度か繰り返し、企業価値を上げながら上場またはM&Aを目指します。これが実現すると、スタートアップの成長にかかわったすべての人たちの資産が増えハッピーになります。

エグジット(上場またはM&Aで株式売却できること)をした創業者は、成功経験を持つ新たなリスク資金の出し手・エンジェル投資家として、スタートアップエコシステムの発展に貢献するーー

このような循環の起点となるのがスタートアップの資金調達です。

スタートアップの価値は資金調達をするときにどのように評価されているのか。

これを理解するためのポイントは以下のようになります。

・プレマネーとポストマネーの違いを知る
・資金調達のまとめ表、Cap Tableの見方を知る
・過去の調達ラウンドの情報取得方法を知る

目次

プレマネー(Pre-money)とポストマネー(Post-money)

プレマネー=資金調達前からいた株主の投資金額+バリューアップ分(株価上昇分)

ポストマネー
=資金調達後のスタートアップの価値
=プレマネー+あたらしい株主の投資金額

資金調達が必要になるということは、スタートアップが成長しており資金ニーズがあるということであり、スタートアップの株価は通常あがっていきます。

なお、事業がうまくいっておらず資金ショートを埋め合わせるための調達では、株価は下がるケースはあります。

資金調達においては、「プレマネー」と「ポストマネー」という考え方で、もともといた株主と今回のラウンドで投資をした株主を区別します。

プレマネーとポストマネーについて、イメージ図で見てみるのがいちばんわかりやすいのでみてみましょう。

プレマネー、ポストマネーの全体像(図解)

創業して新株発行で資金調達をする場合で考えてみましょう。以下のような数値例で考察します。

【ケース事例】
・2020年に資本金1,000万円で創業。発行株式は株価1万円で1,000株調達
・2021年に株価3万円で1,000株調達

【プレマネーとポストマネーのイメージ図】

画像

以下で、①創業時、②資金調達時ごとに整理します。

創業時

資本金=株価1万円×発行株式数1,000株

資本金を入れただけの状態。

画像

資金調達ラウンド

順調に事業が成長して、資金調達ができることになりました。

資金調達は3,000万円=株価3万円×1,000株

画像

新しい株主がより高い株価(3万円)で評価することにより、もともといた株主は自分たちの投資額との差額2万円(3万円ー1万円)、合計2,000万円得をします。

プレマネー
=資金調達前からいた株主の投資金額+バリューアップ分(株価上昇分)
=1,000万円+2,000万円
=3,000万円

あたらしい株主がより高い株価(3万円)で投資したことにより、このスタートアップの価値は増加

ポストマネー
=プレマネー+資金調達金額
=3,000万円+3,000万円
=6,000万円

Cap Table(キャップテーブル)

資金調達ラウンドごとに、もともといる株主の評価金額(プレマネー)と新規株主の投資金額との合計額(ポストマネー)をまとめたものをキャップテーブルといいます

本来は、優先株式やストックオプションなどが含まれるが、キャップテーブルは上記の例ではこのようになります(一発でここまで創業者持分希薄化させるような調達はほぼないと思いますが、数値の設定についてはわかりやすさを優先しています)

画像

資金調達ラウンドに参加する場合には、経営者かリードインベスター(資金調達にコミットしておりラウンドを仕切る投資家)からピッチ資料、キャップテーブル、タームシート(投資条件を書面でまとめたもの)が配布されます。

スタートアップに投資するときは、過去どのように評価額が決まっていったかを知る必要があり、キャップテーブルは必須になります。下でふれますが、法務局で登記情報を取得すれば、取りたい会社の情報をとることができます。

スタートアップの過去の資金調達を知るには

日本においては、登記情報公開制度があり、スタートアップの会社名さえわかれば法務局から登記情報を取得できるます。

どの国においても資本の変動(新しい株式の発行など)があった場合には、そのむね登記をしなければならず、日本も登記情報開示制度を適用しています。

https://houmukyoku.moj.go.jp/homu/static/online_syoumei_annai.html

スタートアップ調達情報に関するのデータベースと契約すると、登記情報をもとにした過去の資金調達ラウンドの情報が確認できますが、自分でデータを取得することもできます。

あわせて読みたい
CFOになるには?おさえておきたい必要スキルと戦略的なキャリアパス ベンチャーCFOの必要スキルをおさえたうえで、CFOへのキャリアパスに関する記事です。資金調達やIPO支援を通じてCFOの方々と仕事をしてきたブログ管理人が考察します。
あわせて読みたい
【スタートアップ投資】企業価値はどのように決まる?価値算定の基本手法を解説✅ スタートアップの育成が政府の重点領域になっています。スタートアップの育成により経済を活性化していくには、価値のあるスタートアップを評価し資金を投入していく必要があります。この記事ではスタートアップの評価のきほんを解説します。
あわせて読みたい
スタートアップで活用される新株予約権の仕組みとは?活用のトレンドとあわせて解説✒️ 新株予約権はスタートアップファイナンスでよく活用されるスキームです。足元のトレンドと仕組みについて解説します。


よかったらシェアしてね!
目次