ビジネス用語解説:テック系スタートアップ企業分析でおさえておきたいKPI

テック用語はほとんどアメリカから入ってきている言葉なので、ほぼ英語になります。

さらに、基本省略形で話したり書いたりするので、テック系の用語知らないひとがサブスク系のスタートアップと話をしても、使う言葉が違いすぎて会話がはずまないという事態が発生します。また、省略形なので記号としては理解していても、意味は実はわからなかった、というケースがときどきあります。

この記事では、よくテック系スタートアップがよく使う用語を10個ピックアップして解説していきます。

目次

よく使うKPI10選

  1. CVR = Conversion Rate:見込み客が期待する行動をとった確率
  2. CAC = Customer Acquisition Cost:新規顧客獲得にかかる費用
  3. CCR = Customer Churn Rate:顧客の解約率
  4. NPS = Net Promoter Score:自社製品を推奨してくれる人の割合(推奨しない人の割合を控除)
  5. LTV = Life Time Value:取引開始から終了までの顧客からの利益
  6. MAU = Monthly Active Users:ある月に一度以上サービス利用があった人の合計人数
  7. MRR / ARR = Monthly/Annual Recurring Revenue:ひと月当たりまたは年間の経常的な売上
  8. ARPU = Average Revenue Per User:顧客一人あたり売上高
  9. Runway:キャッシュ不足になるまでの月数
  10. Burn Rate:1か月あたりのキャッシュアウト。現金燃焼率ともいわれる。グロスとネットがある。

以下で順に解説していきます。

CVR:コンバージョンレート

CVR(コンバージョンレート)とは、見込み顧客がこちらが期待する行動をとった確率をいいます。たとえば、自社ECサイトを訪問した人がどれくらいの割合で購入したかの割合になります

コンバージョンレートは、マーケティングの効果を測定するために使用されます。主にウェブサイトを訪問した人がこちらが期待する行動をとった確率として表現されることが多いです。対象となる具体的な顧客の行動としては、

  • 商品購入
  • 資料請求
  • ユーザー登録
  • 問い合わせ

などです。似た用語にCTR(Click Through Rate)がありますが、違う用語になります。

CTR = Click Through Rateとは、広告の表示回数(インプレッション数といいます)のうち、何回クリックされたかの割合です

CAC:シーエーシー

CAC(顧客獲得費用)は1顧客獲得するために必要なマーケティング費用のことです

顧客を獲得するためには、広告費やキャンペーン費用などを戦略的に使っていく必要があります。CACはどれだけ効率的に顧客を獲得できているかを表す指標です

CCR(チャーンレート、解約率)

CCRは実務的にはチャーンレートと呼ばれることが多いです。一定期間で顧客がどれだけ解約しているかを示す指標です。

顧客がどれだけ自社を評価しているか、愛着や信頼を持っているかの度合いを顧客ロイヤルティといいます。顧客ロイヤルティが高いほどチャーンレートは低くなります。チャーンレートはこのように顧客ロイヤルティを測る指標です。

NPS:ネット・プロモーター・スコア、顧客推奨度

NPS(ネット・プロモーター・スコア)は、自社製品を推奨してくれる人の割合を推奨しない人の割合を控除して表したものです。チャーンレートと同様に顧客ロイヤルティを測る指標になります。

チャーンレートは結果として顧客ロイヤルティの変動を測定する指標ですが、NPSは自社に対する顧客の現時点で評価を表す指標であり、今後のチャーンレートの変動を占う先行指標です。

NPSは以下のように計算します。

  • 顧客に対するアンケートで、自社のサービスを推奨するかどうかを10段階で評価してもらう
  • 6点以下は推奨しない、7~8点はどちらでもない、9~10点は推奨で集計
  • 推奨する人の割合から推奨しない人の割合を引いたものがNPS

LTV(エルティーブイ)

LTVは取引開始から終了までの顧客からの利益を集計したものです

LTVは顧客ロイヤルティが高ければ大きくなります。

LTVはチャーンレートが低ければ大きくなり、NPSが高ければ大きくなります。LTVを把握することにより、マーケティング投資の効果を測定することができます。

MAU:マンスリー・アクティブ・ユーザー

MAU(マンスリー・アクティブ・ユーザー)はある月に一度以上サービス利用があった顧客の数です

サブスクビジネスではいかにMAUを上げるかが重要な経営課題になります。国内SNSのMAU(マンスリー・アクティブ・ユーザー)は以下の通りです。

  • LINE:9,500万人
  • ユーチューブ:7,000万人
  • X:4,500万人
  • インスタグラム:3,300万人
  • フェイスブック:2,600万人
  • ティックトック:950万人

MRR/ARR(エムアールアール、エーアールアール)

MRR、ARRとは「一か月で決まって入ってくる売上」、「年間で決まって入ってくる売上」のことです

サブスクビジネスモデルでは、月次または年間でサービス利用の契約をします。このため、契約にもとづいて確定した売上が存在します。

月次で確定している売上はMRR(エムアールアール)で、月次経常収益ともよばれます。

年間で確定している売り上げはARR(エーアールアール)で、年間経常収益ともよばれます。

ARPU(アープ)

ARPUは顧客単価のことで、サブスクでは「アープ」とよばれます。

この記事で10個用語を紹介していますが、少なくともARPU(アープ)は覚えておくとサブスクビジネス理解している感が出せます。サブスクビジネスを語るときは、単価ではなく、ARPU(アープ)という、ということだけ覚えておけば大丈夫です。

Runway(ランウェイ)

キャッシュがなくなるまでの月数のことです。手元の現金残高と一か月あたりの支出金額(バーンレート)から計算できます

ランウェイはスタートアップ用語になります。スタートアップは常に資金が必要なので、ランウェイ(あと何か月キャッシュが持つか?)は資金調達のタイミングを検討するうえでも重要な指標になります。

Burn Rate(バーンレート)

バーンレートは一か月あたりのキャッシュアウトです。グロスバーンレートはキャッシュアウト金額、ネットバーンレートはグロスバーンレートから収入分を差し引いた金額です

バーンレートは資金燃焼率ともいい、資金を燃やして成長を実現するスタートップ独特の用語です。意味合いとしてはシンプルに一か月あたり出ていくキャッシュはいくらなのか、ということになります。

バーンレートを議論するときは、まずはグロス(キャッシュアウト金額)なのか、ネット(収入を差し引いた金額)のどちらを議論しているか明確にする必要があります。

ランウェイは、手元現金をネットバーンレートで割って計算します。

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