ソーシャルレンディング投資で後悔しないために~契約書の主要条項解説

ソーシャルレンディング(融資型クラウドファンディング)は、投資家がファンドに出資し、ファンドが資金需要者に貸付を行うというスキームです。

ソーシャルレンディングのファンドは正式には「匿名組合」といいます。クラウドバンクやクラウドクレジット、ファンズなどのクラウドファンディング仲介業者(CF業者)がファンドの運営を取り仕切り、ファンドから手数料を受け取ります

この記事では、ソーシャルレンディングに投資する場合に締結が必要になる「匿名組合契約書」の主要条項を開設します。「ああ、こんな条件だったんだ」と後悔しないよう理解することを目的にしています。

ソーシャルレンディング参考記事🔽

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目次

匿名組合契約とは

出資者から資金を集めるファンドを「匿名組合」といいます。CF業者は「営業者」といい、ファンドの実務を取り仕切ります。出資に関する契約である「匿名組合契約」についても、出資者とCF業者(営業者)の間で締結します

匿名組合とは、出資者から資金を集め、損益を計算し分配するためのたんなる箱に過ぎません。匿名組合が貸付の主体となりますが、運営はすべてCF業者が行います。

なお、以下の匿名契約書の条文ですがCF事業者のうち、ウェブサイト上で公開されている契約書から記載しています。主要条項については業界全体でほぼ同じものと考えます。

匿名組合契約主要条項解説

総則

本営業者及び本匿名組合員は、以下の各事項について認識し、それぞれ確認する。本匿名組合員は、本営業者による本件営業の成功が保証されていないこと、出資金(当初出資金及び追加出資金を含む。)の元本の返還が保証されていないことを了知しており、自己の投資判断に基づき自己責任において本件匿名組合契約を締結するものであること

本匿名組合員とは、出資者のことです。

  • CF業者が運営するファンドからの利息は保証されていないこと
  • 元本が変えてこない可能性があること
  • 投資判断は自己責任で行っており、募集をしたCF業者の責任ではないこと

出資者はこれらの点をを契約書上で確認します。ソーシャルレンディングに投資するにあたっては、利息・元本が支払われないリスクを承知したうえで自己責任で投資をすることが確認される条項です。

ファンドの営業について

本件営業は、全て本営業者の判断によりその名の下に行われる。本匿名組合員は、本営業者による本件営業及び経営に関与しない。また、本匿名組合員は、本件営業に関してのみ本営業者に対し権利を有するものであり、本営業者の本件営業以外の資産、利益、権利について何ら権利を有しないものとする

匿名組合の出資は、株式の出資とは異なります。出資割合がいくら高くても、ファンド運営者を選任したり、分配を自由にすることはできません。

株式会社の株主権利についてはこちらの記事でまとめています。

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また、出資者は、いかにファンドの運用実績が悪くてもCF業者に対しては何の権利ももっていないことが確認されています。

出資

本営業者は、本件匿名組合契約及び他の匿名組合契約に基づく出資金を本営業者の固有財産と分別して管理するため、以下のとおり、金融商品取引法第40条の3及び金融商品取引業等に関する内閣府令第125条に定める基準を満たす義務を負う

法律に従い、CF業者は出資者から受け取った資金を、自分の資金と分けて管理することが求められます。これを「分別管理」といいます。後ほどもふれますが、これに分別管理に違反して損害が発生した場合にはCF業者は賠償責任を負います。

なお、顧客資産を分別管理せずに私的に使い込むのは典型的な金融詐欺です。直近で起きた事案としては、米国史上最大の金融詐欺と言われるFTX事件があります。経緯につきこちらの記事でまとめています。

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表明保証

表明保証とは、契約当事者が契約の前提となる事柄について、その正しさを保証をすることです。ソーシャルレンディングの匿名組合契約では以下のようなものがあります。

<CF業者の表明保証>

  • 契約能力を持つ有効な会社であり、契約を締結するための手続きを適用にすましている
  • CF業者はソーシャルレンディングに必要な免許(第二種金融商品取引業)を持っている

一般的なソーシャルレンディングの契約書では、このようなシンプルな保証がなされており、CF業者が有利な契約になっていると思われます。

一方で、広く一般投資家から募集をする以上は、CF業者は、本来的には融資先の信用に関する表明保証をすべきと考えます。一般投資家が自身で調べるのは限界があるので、「合理的な範囲内で融資先の信用調査を完了した」などと表明しない限り、海外融資など情報が少ない場合には一般投資家にリスクが偏る可能性があり、結果としてソーシャルレンディングに投資家が集まらなくなる可能性があると思われます。

本ブログでは、ソーシャルレンディングをする場合には、国内上場企業(監査済み)に融資対象を絞っているファンズを推奨しています。投資家として、ファンド融資先が国内上場企業であれば自分で情報を集めて納得したうえで出資をできると考えるからです。

CF業者と出資者の権利と義務

本営業者は、本件営業を善良なる管理者の注意をもって執り行うものとし、本件営業の成功に向けて合理的に努力するものとする。但し、本営業者は、本件営業の成功又は本匿名組合員に対する出資金の返還について、明示又は黙示を問わず、何らの保証をするものではない

CF業者はファンドの運営について、資産の管理者として、出資者に対して利息・元本を支払うために努力する旨定められています。

営業者報酬

本営業者は、本件営業の遂行及び業務執行に対す酬として、出資金の額にX%(以下「営業者報酬率」という。)を乗じた金額を本件営業の費用と認識した上で、本件財産から収受する

CF業者はファンドで集また資金の数パーセントを、ファンド運用報酬として受け取ります。なお、CF業者がウェブサイト上で公開している期待利回りについては、CF業者への報酬を控除した後の利回りが記載されています。

本ブログの推奨CF業者

本ブログでは、ソーシャルレンディングで投資するのあればファンズを推奨します。

ファンズの利回りは1.0-3.0%であり、利回りについてはあまり魅力はないです。このうえでファンズを推奨する理由としては、国内上場企業を中心とした低リスクな投資を前提として、応援したい企業にファンド経由とはいえ資金提供できる点です。

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