ブログ管理人は20代前半で事業会社からコンサル業界へ転職しました。それ以降は資本政策・M&Aをメインとしたプロフェッショナルサービス業界で働いています。
なぜ転職したかというと、経理部を数年間経験すると、仕事の内容や自分のキャリアパスがだいたい見えてきて、そのタイミングで、それまでの経験を活かせる何か新しいことをしてみたくなったからです。
この記事では、自分の経験を振り返りながら、私と同じく経理部で社外、特にコンサルで活躍してみたいと思う人向けにどのように経理業務経験が活きるかをまとめます。
転職でねらうべきコンサルの種類
コンサルは大きく戦略コンサルと業務コンサルに分かれます。違いについてまとめます。
戦略コンサル
業務内容
担当する領域は、全社戦略の策定、新規事業・新市場への進出検討、企業買収における事業DDなど。ざっくりと言うと、戦略コンサルはふわっとしたコンセプトをクライアントと協議したり紙におとして資料化したりする仕事です。
仕事の仕方としては、4-5週間のプロジェクトを短いサイクルで回していくイメージです。
戦略コンサルが激務と言われるゆえんはここにあります。
なお、戦略コンサルの業務自体がアメリカ発祥ですし、有力コンサル会社はほぼアメリカなので、「KBFとKSFを把握してValue Propositionを定義しよう」というような日本語ではよくわからないような横文字が多用されます。
やりがい
新規事業、新市場系は、予算があるからコンサルに調べてもらったけど結局やらなかった、というようなケースもあり、何件かやっていると達成感が感じづらくなります。
M&Aの事業DDについては、成立した案件が公表されたりするので、達成感を持てるということもありつつ、買収後の経緯を追ってみたりしていろいろと楽しみがあります。戦略やるなら事業DDを経験するのをおすすめします。なお、M&Aは基本はFA(Financial Advisor)が取り仕切るので、クライアントからすると事業DDもM&A検討のピースにすぎない、という物足りなさはあります。
業務コンサル
業務内容
担当する領域は、会計、人事、物流、ITなどの業務プロセス改善、新サービスの効果検証など、戦略コンサルはふわっとしている一方で、業務コンサルはより具体的で手触り感のある内容について検討をします。プロジェクトのサイクルについても、数カ月単位のプロジェクトが継続されていくケースが多いです。
戦略コンサルに比べると、サブコン(プライム契約がコンサルでそこからベンダーなどに発注)の人を含めた大規模チームの運営が求められます。また、案件の規模としても戦略コンサルよりも大型・長期間の案件が多くなります。
プロジェクトが大型化することから、戦略コンサル案件から業務コンサル案件につなぐ、「業務コンサルに落として大きくして稼ぐ」というスタイルが主流になります。Big4やアクセンチュアが狙っている攻め方です。
やりがい
基本長期プロジェクトなので、クライアントとの人間関係が深まります。新卒で入って数年間ずっと同じクライアントという人もいます。コンサルにとっては常に今は知っているプロジェクトの継続をとろうとしているので、ずっと同じクライアント向けPJに入っているということは必要とされているという評価になります。一方で、ずっと同じだと人間だれしも飽きるので、モチベーションが下がる人もいます。
戦略コンサルに比べるとPJ期間が長い分、ゆるく仕事ができます。ただ、報告会前はチーム内外からのプレッシャーもかかり緊張感がある仕事ができます。
事業会社から行くならどちらが入りやすい?
転職においては、
これまでのやってきたことの延長線上でやりたいことがあります。それはXXXです
ということを一貫して伝える必要があります。
戦略コンサルは未経験で事業会社、特に経理部から入るのはつながりがない気がしまし、ほとんど新卒から戦略コンサルの人が多いです。経理部出身でどうしても戦略コンサルになりたいなら、まずは一度コンサル業界に入ってから内部で移ることをおすすめします(なお、ブログ管理人はこのパータンです)。
業務コンサル、とくに会計コンサルでFP&A(Financial Planning & Analysis)と言われるサービスラインに入るのが一番現実的です。
どうアピールどうすればいい?
なりたい自分の姿は人それぞれです。アピールの仕方についても、すべての人に当てはまる正解はないと思います。
参考として、転職のときにブログ管理人がどのように思いを伝えていたかを記載します。
<自分は何をしたいか>
- 経営の意思決定にたずさわりたい、意思決定にインパクトを与えたい
- 会社がどう回っているかを学びたい。このため経理部門で経験を積んだ
- 一社だけではなく、より多くの会社の経営に対してインパクトを与えたいと思っている
- そのための武器として自分は会計・事業管理の経験を活かせると思っている
<貢献できること>
- コンサルにおいても、事業会社における会計・事業管理の経験をベースとして活躍できると思っている
- 具体的には、XXXについてクライアントへの示唆出しできると思っているし、社内でも経験を共有できる
- また、自分は定量分析やエクセル処理ならだれにも負けないと思っている。分析でもバリューを出せるし、作業効率化にも貢献できる
コンサル未経験ながら、どのようなメリットをクライアントとコンサル社内にもたらせるかをはっきりとつたえることが重要です。
なお、ブログ管理人がコンサルに移ったのは20代半ばのことです。若い方がコンサルに移りやすいのは事実です。未経験の30代の転職はおすすめしません。未経験だと入ったときの等級も新卒と同じになるのでモチベーションが保ちにくいです。
会計コンサルで活かせる経理業務
経理部の業務をまとめたうえでどの領域の実務経験が会計コンサルに役立つかを考えます。
本社/事業部 | 領域 |
---|---|
本社 | 連結決算、子会社管理 |
本社 | 開示業務 |
本社 | 税務 |
本社 | 財務(資金調達、キャッシュフロー管理) |
事業部、子会社 | 一般会計(経理締処理、買掛金、売掛金) |
事業部、子会社 | 原価計算、事業管理 |
本社/連結決算、子会社管理
連結決算業務自体はシステム化されており、業務において専門性はあまり必要とされませんが、データの取りまとめを含む子会社管理はコミュニケーション能力が必要とされます。また、本社主導で事業部・子会社の経理業務を見直す際にはプロジェクト推進役となる機会があります。
このように、事業部や子会社を巻き込んで目標を達成することはコンサルでも活かされます。
また、本社にいればマネジメント層をまじかで見ることができます。経営者がどのような行動をしているかを見ることは会社運営がどう回っているかを知るうえで一番勉強になります。なぜなら、事業部のトップ層や管理部門との打ち合わせで何を議論しているかは自然と漏れ聞こえてくるものであり、それを知ることで会社がどのような議論を経てどのように経営判断をしようとしているかを知ることができるからです。
本社/開示業務
開示業務は、企業が適用している会計基準に則って財務情報を開示する業務です。
開示業務は知識が重要視され、会計士の資格をもっている人が多い部門です。監査法人とも議論する機会があり、自分で学んだ会計知識をブラッシュアップすることもできます。
会計コンサルにおいても会計士の需要は高いです。財務会計・管理会計プロジェクトにおいても、クライアントは会計士資格を持っていればそれ自体で信頼してくれますし、会計士資格取得のために学習した知識を活かすことができます。
本社/税務
本社税務は、コンサル転職においては穴場の業務だと思います。M&Aにおいては、M&A対象会社の税務ポジションや過少申告やタックスヘイブン税制などのリスクを検証することになります。このような場面において、税務チームが検討をリードすることになります。すべての業務経験において、検討をリードすることは貴重な経験です。
税務リスクについては、マネジメントとしても避けたいものであり、税務チームを相談相手となります。このような機会を通して、経営者の考え方や行動様式を学ぶことができます。
本社/財務(資金調達、キャッシュフロー管理)
借入(銀行)や増資(証券会社)との付き合いにより、自社だけではないネットワークを作ることができます。本社財務の経験については、コンサルというよりはFASや証券会社(英語ができれば投資銀行)の方が向いているように思います。
計量的な分析、マーケットに関する理解は会計コンサルにおいてはエッジの効いたスキルになります。新卒コンサルはほぼ業務系がメインであり、どちらかというとITやSAPなどの会計システムに偏っているためです。
事業部、子会社/一般会計(経理締処理、買掛金・売掛金処理)
経理一筋であれば、事業部・子会の経理は出世のための登竜門になります。なぜならば、より現場に近い場所からビジネスを理解することができるからです。
一般会計については会計知識を学ぶことができます。
買掛金管理については、支払いサイトやファクタリングなどの条件を学ぶことができます。また、売掛金については営業との連携が必要となることからコミュニケーション能力が必要となります。
事業部・子会社の一般会計については、本社よりもよりビジネスに近い立場で会計の専門性を高めることができます。
事業部、子会社/原価計算、事業管理
事業部、子会社の原価計算処理、予実管理を実施する業務です。経理部門の中で、最もビジネスに近く、事業部の経理相談窓口として動くことになることからコミュニケーション能力も必要となります。
予実管理については、どうすれば損益目標を達成出来るかのモニタリングを通じて、施策の策定プロセスや実行過程を見ることができます。会計コンサルにおいても予実管理プロセスは主要領域なので、事業管理の経験はコンサルにダイレクトに活きると言えます。なお、ブログ管理人は事業部経理からコンサルに転職しています。
まとめ
上記で見てきた通り、すべての職種がコンサルに移るにあたりアピールできる業務経験です。
コンサル業界自体が拡大をしているので、経理出身からの会計コンサルの需要は高いです。
自分の人生がどうなっていくかは、他人(会社人事)に委ねるのではなく自分で決められるようにすべきです。
その方が楽しいし年収をアップすることもできるからです。
どのような職種にも言えることですが、キャリアアップするための第一歩は、これまでの自分の経歴を肯定したうえで、何をしたいかを言葉にすることです。
キャリアアップを検討する場合にはなるべく多くのエージェントと話をするようにしましょう。
なぜならば、
会話の中で本当に自分のやりたいことに気づけたり、
複数のエージェントと話をする中で信頼できそうな人や単純に気が合いそうな人を選ぶことができる
からです。
経理系の職種出身者であればこれらのエージェント登録しておいて損はないです。
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