「経理は頭がおかしくなる」と言われる本当の理由

私は新卒で事業会社の経理に入り、3年経理をやってからコンサルに転職しました。以降、自分のやりたいことをやっていた結果、紆余曲折をへて、資本政策を得意とする戦略コンサルとして働いています。

私自身、経理の3年間でさんざん「経理向いてない」「辞めたい」と思いながら仕事を続けていました。決算期間以外はほぼ毎日無気力・省エネモードで仕事をして、月に一回の給料日を待つ、という生活をしていました。

この記事では、私自身の経験から、

「経理は頭がおかしくなる」

と言われる本当の理由について考えます。

経理は私が社会人入って初めてした仕事であり、つらいことや嫌なことはいっぱいありました。

「頭がおかしくなる」ような感情を覚えたことも何度かあります。

ただ、いま振り返ってみると、マイナスのことよりプラスのことの方が多く、いい経験だったと思います。

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それでは、本題の”経理は頭がおかしくなる本当の理由”について考えていきましょう。

目次

一般的な「経理は頭がおかしくなる」理由

一般的に言われている理由は、どの仕事をしていても当てはまることです。経理に限った話ではありません

【一般的に言われている理由】

  • 会計知識など覚えることが多い
  • 月一回、年一回の業務があり、慣れるまで時間がかかる
  • 年度末決算時期は忙しい
  • 月次の決算対応で残業が多くなる
  • 小さなミスでも許されない
  • 売上を上げる部門ではないなので、会社から評価されにくい

順に見ていきましょう。

「業務知識、会計知識など覚えることが多い」って経理だけ?

覚えることが多いのはどの職種でもあてはまることではないでしょうか。

営業であれば、売る製品についての知識を一生懸命覚える必要がありますし、管理系でいえば法務部は関連法規を覚える必要があります。

覚えることが多いのは経理だけではないです。

覚えることが多い=スキルアップできるととらえればポジティブにとらえたほうが健康的です。

「月一回、年一回の業務があり、慣れるまで時間がかかる」って経理だけ?

月次決算、年度末決算業務については、確かに毎日やるわけではないのでなれるまで期間が必要かもしれません。

ただ、これも営業であっても期末の締め処理などは同じですし、例えば人事も新卒採用は一年に一回なので同じことが言えます。

これについても経理だけではないです。

「年度末決算時期は忙しい、繁忙期は残業が多い」って経理だけ?

営業であっても年度末は売上の締め処理が忙しいですし、他の業務でも忙しいときは忙しいです。

残業もトータルで見れば経理が特に多いわけでないです。

ただ、月次決算の期間では突発的に残業が増える傾向にはあります。

「小さなミスでも許されない」のは経理だからというよりはチームの雰囲気では?

経理でミスがあったら決算確定ができないので、他の職種に比べたらミスに対するプレッシャーは大きいです。

ミスをすること自体というよりは、上司からミスをしたことに対して叱責される、またはチームメンバーからネガティブな評価をされる、というのが「経理は頭がおかしくなる」こととして言われることかと思います。

「頭がおかしくなる」本当の理由としては、ミス自体よりも、チーム内のコミュニケーションがうまくいっていないことの方が大きいです。

「売上を上げる部門ではないので、会社から評価されにくい」けど評価される点はある

経理・人事・総務・調達など管理系の部門の本文は、顧客フロント(営業、エンジニアなど)をサポートすることです。売上をダイレクトに獲得するような部門ではそもそもありません。

このため、評価体系としても、

「業務のコストをXX%削減した」

「新しい業務プロセスを導入した」

などが評価されるポイントになります。

売上を上げなくても、会社から評価されることはできます。

「経理は頭がおかしくなる」本当の理由

私が経理をやっていたころ、「頭がおかしく」なりそうになったのは、人間関係と活躍する場の少なさです。

新卒で経理に配属されたのですが、周りのチームメンバーが30代後半ばかりで年も離れており仲良くもならず、ミスをすると叱責される、冷たくあしらわれるなどが重なり、最初の1年はほとんどやる気も出ず、月々の給料、半年に一回のボーナスを待ち望んで惰性で仕事をしていました。

人間関係は経理に限ったことではないですが、すぐれたマネージャーいないと、経理はチーム内の雰囲気が悪化していく傾向があります。

理由は、

  • 基本チームメンバー以外会わず、いつも同じ人たちと仕事をする「ムラ」社会
  • 「ムラ」社会で力を持っているのは長くやって経験を積んでいる先輩社員
  • 新しく入った人や若手は活躍の場を見出しにくい
  • 変化のない環境のなかでどんどんと希望を失っていく

からです。順に見ていきましょう。

基本チームメンバー以外合わないので、いつも同じ人たちと仕事をする「ムラ」社会

経理は営業のように取引先の人と会いに外出することも少なく、環境の変化にとぼしいです。

基本いつも同じ人たちとコミュニケーションをとって仕事をすることになります。

経理は典型的な農耕民族型の仕事であり、同じ人たちと、同じ仕事を同じサイクルでこなしていくことになります。

このような繰り返しの日常にメンタルがやられる可能性があります。

「ムラ」社会で力を持っているのはずっと同じ業務をやって経験を積んでいる先輩社員

どの職種にも言えるかもしれませんが、経理は業務プロセスを一度やったことがあるかないかで業務スピードが全く異なります。

特に、決算期などは限られた時間内に作業をする必要があるので、経験の有無は作業のスピードと直結します。

このため、仕事ができる社員というのは、独特のセンスがあって結果を残すというよりも、

「勤務経験が長い」

社員である傾向が強いです。

このような社員の力が経理という「ムラ」社会では強い傾向にあります。

新しく入った人や若手は活躍の場を見出しにくい

このように、経理では新しく入った人や若手がすぐに目立った活躍をする、ということはあまりありません。

経理は、

「仕事を任される」

「責任感をもって仕事ができる」

ことは確かですが、

関係者を巻き込んで課題を解決したり、新しいサービス・取引先を開発したりする部門ではないので、特に若手が思い描くような華々しい活躍の場を与えられる余地はほとんどないです。

変化のない環境の中でどんどんと希望を失っていく

ここまでくると、

  • 経理という「ムラ」社会もいやだ
  • 「ムラ」社会で活躍している人も単に長く仕事をしているだけで目指すロールモデルではない
  • 活躍する場もない

という負のスパイラルが発生し、これによりモチベーションが低下していきます。

かくいう私も、入社一年目でここまで見てきたようなスパイラルにすっぽりはまりこみました。

私は入社三年でコンサル業界に転職し、それ以降順調にキャリアアップしていくことになるのですが、当時は私も「頭がおかしく」なっていました。

この後私がどのようにターンアラウンドしたかを書いていきます。

「頭がおかしくなった」ときの対応方法

経理業務自体は今後どのようなキャリアを経るにしても、3年やっていて損はないです。私の場合、今後なりたい自分の姿を思い描いたうえで、そこに向かって今自分が経理で仕事をしているというマインドセットをもって仕事をしました

経理業務は、

  • 会社全体の管理プロセスがどうなっているかを身をもって経験できる
  • 会計知識が身につく

など、今後のキャリアに関係なく貴重が経験をできます。少なくとも3年間は継続することをおすすめします。2年目・3年目くらいから業務プロセス改善などに関わっていける可能性が出てくるからです。

私の場合、

「会社の意思決定は数字でされている」

「数字をまとめる、意味を解釈して社長クラスにアドバイスできるようになりたい」

というような大まかなキャリアの方向性があり、経理の業務自体はその方向性に乗っかっているものでした

「頭がおかしく」なったときの対応としては、

  • 自分のなりたい姿を考える(ロールモデルを見つける/いなければ小説の主人公などでもOK)
  • それに向かって、今自分がやっていることはどのような意味を持つか?を考える

ことをおすすめします。こうすることによって、今やっていることをポジティブにとらえられるようになります。

なお、転職を検討する場合の考え方についてはこちらでまとめています。

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まとめ

自分の人生がどうなっていくかは、他人(会社人事)に委ねるのではなく自分で決められるようにすべきです。

その方が楽しいし年収をアップすることもできるからです。

どのような職種にも言えることですが、キャリアアップするための第一歩は、これまでの自分の経歴を肯定したうえで、何をしたいかを言葉にすることです。

キャリアアップを検討する場合にはなるべく多くのエージェントと話をするようにしましょう。

なぜならば、

会話の中で本当に自分のやりたいことに気づけたり、

複数のエージェントと話をする中で信頼できそうな人や単純に気が合いそうな人を選ぶことができる

からです。

経理系の職種出身者であればこれらのエージェント登録しておいて損はないです。

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