コントロールプレミアムとは?M&Aの根底にある支配権の値付けはどうなっているか

企業買収の目的は買収先企業に対する支配権を獲得することです。支配権とは、自分の好きなように事業を行えること、その結果として発生するキャッシュフローを自由に使えることです。

支配権を手にして初めて得られるメリットへの支払対価は「コントロールプレミアム」とよばれます。

この記事では、コントロールプレミアムがはぜ支払われるのか、何に対して支払われるのか、コントロールプレミアムの水準は何%かについて考察します。

目次

株主の権利と支配権の関係性とは?

株主の権利は、持分比率(株式をどれだけ持っているか)によって段階があります。

持分比率が増えれば増えるほど株主の権利も強くなっていきます。株主は企業の所有者であり、株主の権利が強くなるほど企業に対する支配権は強くなります。以下の表は、持分比率ごとの株主の主要な権利をまとめています。

持分比率別の株主の権利

普通決議と特別決議

普通決議とは、役員や配当の分配など企業の運営に関する最高意思決定決定をすることです

①役員の選解任や役員報酬など、企業という「器」を運営するための最高意思決定機関を決める

②配当の決定など、企業という「器」を運営した結果の分配を決める

特別決議とは、主に下記①、②のように企業活動の前提や企業の形を変える決定をすることです

①どのような事業を行うか?など企業活動の前提=定款を変更する

②企業再編/事業譲渡、解散など企業という「器」の形を変える決定をする

コントロールプレミアムとは?

M&Aにおける支配権とは、役員や配当の決定など企業運営においてもっともハイレベルな意思決定を単独でできることです。コントロールプレミアムとは、このような企業に対する支配権を獲得することによるメリットへの支払対価のことです

50%超の株式を保有すれば普通株式を単独で可決できます。

M&Aにおいては、50%超の株式を保有していれば企業を「支配」しているとされます。なぜならば、

  • 企業のオペレーションを取り仕切る役員を選解任できることで、経営戦略の立案や投資の意思決定などに影響を与え、経営の方向性をコントロールできる
  • 株主へのリターンとしての配当の水準や時期を決定できる

からです。コントロールプレミアムは、持分50%を保有することによるこのようなメリットに対して支払われます。

プレミアムの意味は?

「プレミアム」とは何かに対する上乗せ分の価値のことです。プレミアムがあるということは、比較対象となる価値があるということです。コントロールプレミアムにおける比較対象とは、持分50%未満の株主の権利となります。

「持分50%超を保有すれば、企業経営に自由に影響力を与えられる」

この狙いを実現するために、持分50%超の保有を目指すことになりますが、このように支配権を獲得できるような持分数はより価値が高いことから取得時にプレミアムが発生します。

なお、株式市場で取引されている株式の持ち分比率は通常は1%未満です。このため、

・配当を受け取れる
・株主総会の議案に対して投票できる

これらの権利を持つのみであり、市場株価についてもこれらの権利に対する価値を表しています。

M&Aの世界では、上場企業株主の保有比率は通常1%未満であるという前提の下で、上場企業株主を少数株主とよんでいます

後述しますが、TOB(株式公開買付)の際には、広く株主から売却者を募集し、持分50%超を目指します。公開買付する人は持分50%超の権利を取得するために買付をするわけで、それに対応する買付価格は市場株価よりも高くなります。

コントロールプレミアムはどのように計算する?

コントロールプレミアムが測定できるのはTOB(株式公開買付)時です。TOB価格と市場価格の差がコントロールプレミアムとなります。

TOBはTake Over Bidのことであり、企業の支配権獲得を目的として上場企業の株式を募集により買い取ることです。上述したように、市場株価は少数株主の権利に対応したものであり、支配権獲得をするために支払う対価(TOB価格)は市場価格よりも高くなります。

TOBプレミアム = TOB価格 - TOB実施前の市場株価

足元のTOBプレミアムの水準はこちらの記事で考察しています。いずれの取引においても、市場株価(特に6カ月平均)に対して、30-40%となるような交渉がなされています。

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