前回は伊藤忠による一連のTOBを参考にして、TOBプレミアムの標準的な水準をまとめました。
今回は、イオンによるいなげや株式公開買付について考察します。
この記事のポイントは以下の通りです。
- イオン・いなげやのTOBでは、23年4月(TOB実施前)の時点で子会社化することを公表していた。この結果、TOB実施前からTOBの実施(TOBプレミアム)を織り込み株価が急騰していた
- 急騰後の株価に対するプレミアムは8%くらいだが、23年4月の子会社化公表時点での株価(6カ月平均)に対するプレミアムはおよそ30%となっている。これはTOB価格交渉において両社が意識している水準
ポイント①TOB実施前に急騰していた株価
TOBが実施される場合、通常はTOB公表時に株価がTOBプレミアムを織り込んで急騰しますが、このケースでは、4月の時点でイオンがいなげやを子会社することを決定しており、その時点で市場株価がプレミアムを織り込んでいます。
このため、直近株価からのプレミアムは、株価が4月の時点で急騰しているのでおよそ8%と、他の案件に比べて低い水準になっています。
ポイント②いなげやが求めたプレミアム30%超
このようなケースにおいては、TOB価格はどのように交渉されるのでしょうか?イオンといなげやの交渉の経緯をまとめます。
🔽イオン初回提案(2023年8月31日)
イオン提示:1,600円(急騰前株価6カ月平均+28%のプレミアム)
🔽いなげやカウンターオファー(2023年9月8日)
いなげや提示:1,660円。4月急騰前の株価水準に少なくとも30%はプレミアムをのせるべきだ
🔽イオン第2回提案(2023年9月11日)
イオン提示:1,600円。提示金額変わらず・・・
🔽いなげやカウンターオファー第2回(2023年9月22日)
いなげや提示:1,660円。提示金額変わらず・・・
🔽イオン第3回提案(2023年9月25日)
イオン提示:1,610円(急騰前株価6カ月平均+29%のプレミアム)。
双方合意へ
この交渉の経緯を見ると、両社の思惑は以下のように推察されます。
🔽イオンの思惑
✅そもそも急騰前の株価水準に28%プレミアムをつけている
✅プレミアム30%をいなげやが気にするのはわかるが、ほぼ30%でよいのではないか?
✅4月に子会社化を発表している手前、このまま妥結しないのはいただけない。いなげやの言い分も取り入れて1%をプレミアムを上げよう
<いなげやの思惑>
✅TOBプレミアム30%は上場会社経営陣として目指したい
✅プレミアム1%で何億円か動くのはわかるが、イオンも気持ちよく30%で合意してもらえないか
✅とはいえ、子会社化には同意しており、このままTOBが実施されないのもいなげやとしては困るので、イオンが妥協した+1%、合計29%のプレミアムで手を打とう。ほぼ30%なので株主から責任を追及されることもないだろう。
過去急騰しているので足元の株価と比べるとプレミアムは低くなりますが、子会社化発表前(急騰前)株価へのプレミアムは両社30%を意識していることがわかります。
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