モビルスーツ、1機4億円はお買い得??ツバメインダストリのガンダム型ロボット「ARCHAXアーカックス」の価値をシミュレーションしてみた

  • この記事ではアーカックスの値段4億円が妥当かどうかを考察します。
  • アーカックスの用途は、①エンタメ用、②コレクション用の二つに分けられます。事業シミュレーションと代替プロダクトの価格レンジをもとに検証します。

ツバメインダストリのガンダム型ロボットアーカックス。ジャパンモビリティーショー2023でのお披露目により、国内外の認知度がますます上がりそうです。

ツバメインダストリの量産搭乗型ロボット「アーカックス」

ツバメインダストリのウェブサイト(https://tsubame-hi.com/)


この記事では、アーカックスを持っていることによるお金の出入りをシミュレーションしてみて、4億円を払ってもよいか?ということについて考察します。

この記事は以下のような方向けです。

  • スタートアップの戦略や事業計画に興味がある方
  • ガンダムに興味がある方

まずはシミュレーションの前提となるツバメインダストリの戦略についてみていきましょう。


目次

ツバメインダストリのターゲット顧客・戦略

ターゲット顧客と戦略

ツバメインダストリの戦略

商品の位置づけSFの世界を実現させた「巨大なおもちゃ」

一般向けまずはエンタメでの利用に注力する

超富裕層向けコレクション需要向け。ハイパーカーをリプレース

まずはエンタメ向けで事業成長させて、将来的には本物のモビルスーツのようなロボットを作る方針のようです。

超富裕層向けビジネスの発想が興味深いですね。

事業方針に関するCEOインタビュー

まずはエンタメの分野から入り、将来的には災害現場や宇宙空間でも使えるようなものを作りたい
ーーーーーーーーーーーーーー
「巨大なおもちゃ」が本当に売れるのか。吉田さんは「現時点での受注状況は明かせない」としつつ、主なターゲットは海外の超富裕層。ハイパーカーやクルーザーを買うような人たちは、アーカックスにも興味を持つはずと自信を見せる。  同社によると、1台100万ドル以上の超高性能車は世界で年間数千台が売れているものの、購入者のほとんどがナンバーを取得せずにガレージで眠らせているという。こうしたコレクション需要に割り込み「自分専用ロボットの所有と搭乗」という近未来的な体験に価値を感じてもらおうという戦略を立てた。

東洋経済

アーカックスはモビルスーツのような「くるま」

アーカックスの位置づけ

✅車輪はついているが、公道を走るのは最初からあきらめている

走るとしても私道か商業施設での限定的なシーンでの利用を想定

「走る」のが価値ではなく、「見せる・体験できる」のが価値

アーカックスの上半身はモビルスーツ、機体下部の4輪タイヤで走行します。

走行するときは攻殻機動隊のタチコマのようなイメージです。

公道を走るためには、道路運送車両法で特殊自動車として承認される必要がありますが、構造要件・保安基準など厳格な基準を満たす必要があります。

スタートアップがそこまでやっていると何年もかかり事業化が見通せないーーー

このような制約条件があるため、アーカックスは公道での走行は想定されておらず、あくまで「見せる・体験できる」のが価値だと考えられます

以下では、アーカックスをエンタメ(商業施設で見せる、体験乗車する)向けに購入する場合に、4億円払ってもよいかをシミュレーションします

アーカックスの価値シミュレーション(エンタメ向け)

シミュレーションの前提条件設定

  • 10時間営業する百貨店でアーカックス1機購入
  • 1日8時間稼働
  • 一人で体験できるコースは一人一時間、1万5千円。1日五回
  • グループ体験コースは15人×一時間×三回/日。一人5千円。
  • 年間では1か月修理期間発生するとして330日の稼働を想定
  • その他費用面の詳細は割愛(シミュレーション詳細について興味がある方は管理人までご連絡ください)

百貨店で体験乗車・写真撮影できるコースを①エクスクルーシブコース(1名60分)、②グループコース(一回15人、60分)としてそれぞれの料金を想定しました。償却年数は車と同じ6年、残存価格は5千万円とおいています。

🔽シミュレーション詳細

シミュレーション結果

アーカックスから得られるお金の価値を計算すると、4億1千万円になりました。

払った金額の4億円よりも、将来得られるお金の価値の方が大きいということになりますね。

非常に粗いシミュレーションですが、条件によってはアーカックスを4億円で買ってもペイするという結論になりました。

超富裕層向け(コレクション需要)

超富裕層向けコレクション需要向け。ハイパーカーをリプレース

でした。超富裕層向けには、他のハイパーカーと値段比べたときにお買い得感あるかがポイントになりそうです。

ハイパーカーの値段トップ10

  1. Bugatti La Voiture Noire : 20億円
  2. Bugatti Centodieci : 12億円
  3. SP Automotive Chaos : 9億6千万円
  4. Pagani Huayra Imola : 8億円
  5. Bugatti W16 Mistral : 7億5千万円
  6. Bugatti Bolide : 7億円
  7. Aston Martin Valkyrie : 4億8千万円
  8. Koenigsegg Jesko : 4億5千万円

ハイパーカーと比較すると、アーカックスの値段4億円はアストンマーチンと同じくらいになっています。
乗らずにコレクションの一部として持つのであれば需要はありそうですね。

ツバメインダストリー起業のきっかけ

以上で、ツバメインダストリーのガンダム型ロボット、アーカックスの値段について考察しました。ところで、ツバメインダストリーはそもそもなんでこのようなガンダムを作っているのでしょうか?

創業者CEOの吉田さんは学生起業家として、ロボット義手・センサーの開発会社ALTsを起業しています。ツバメインダストリーの創業は、SF映画に出てくるようなロボットを作りたい、という思いがきっかけになっています。

作るだけでなく、事業戦略・ターゲット顧客を決めて実際にSFの世界のロボットを売ろうとしている=事業化しようとしているところが一番すごいことです。

思いがあっても行動がなければ形にはならないし、事業にもなりません。アーカックスから学べることは、「何かをやりたい」と思ったら、回り道をするよりも行動に移るのが大切ということだと思います。

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