投資のリスクは投資に求められるリターンと表裏一体の関係にあります。リスク(不確実性)が高いからこそ、高いリターンが求められます。この記事では、スタートアップ投資で一般的に求められるリターン水準についてまとめます。
目次
スタートアップ投資のリスクの考え方
- 通常の株式投資では、CAPMという概念を使って投資にもとめるリターンを算出します。CAPMは要求リターンの算定モデルであり、株式市場で分散投資して自分に合ったリスクを実現している投資家が想定されています。
- 一方で、スタートアップ企業は上場企業よりも不確実性が高く、CAPMの概念があてはまりません。このことから、スタートアップ投資の要求リターンは、ベンチャーキャピタルなどの投資家が実務上適用している要求リターンを適用します。
スタートアップ投資で求められる要求リターン水準
スタートアップ投資先進国、アメリカの実証研究がもとになっている
日本においては、スタートアップ企業への投資における要求リターン水準についての有力な研究結果はいまだ発表されていません。日本公認会計士協会が発行している、「スタートアップ企業の価値評価実務」においても、アメリカ公認会計士協会(AICPA)が参照しているアメリカの文献がもとになっています。
それぞれの投資ステージの定義は以下の通りです。
会社によってそれぞれの資金調達ラウンドが含む範囲がまちまちですが、一般的には以下のように紐づけられます。
かっこ内はAICPAの要求リターン。
- Startups:エンジェル~アーリー(50-100%)
- First stage or early development:アーリー~シリーズA(40-60%)
- Second stage or expnsion:シリーズA~シリーズB(30-50%)
- Bridge/IPO:シリーズC~(20-35%)
AICPAが参照している文献はかなり古いものです。今の市場環境でそのまま適用できるかは検討が必要でしょう。スタートアップ評価の実務的には、Pepperdineという大学の最新の聞き取り結果をふまえた割引率も参照するケースが多いです。
以下がPepperdine大学が調査した要求リターンになります。
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