スタートアップ企業への投資は、ベンチャーキャピタルや事業会社が独占していると思われがちですが、「株式投資型クラウドファンディング」というスキームで個人投資家にも門戸は開かれています。
政府としても、経済活性化の打ち手として、スタートアップ企業の資金調達がしやすくするような環境整備を進めており、個人投資家による投資を後押ししています。足元で2024年から、未上場のスタートアップに対する個人投資家の投資上限額が拡大されることが決まりました。
個人の新興投資、上限拡大 1社100万円超も
金融庁、企業調達額は5倍に
(日本経済新聞 2023/10/18)
個人投資家によるスタートアップ企業への投資モメンタム(勢い)は強まっていくことが期待されます。
この記事では、スタートアップ企業への投資を検討されている個人投資家向けに、株式投資型クラウドファンディングについて解説します。
株式投資型クラウドファンディングとは
株式投資型クラウドファンディングの定義
株式投資型クラウドファンディングの正式名称は、「第一種少額電子募集取扱業務」といいます。東証などに上場している株式の売買ではなく、インターネットを通じて投資家から直接資金を調達することが認められています。
株式投資型クラウドファンディングの仲介業者
なお、株式投資型クラウドファンディングを行うには、第一種金融商品取引業者のライセンスが必要になります。第一種金融商品取引業者は証券会社のライセンスと同じであり、スタートアップは通常は取得しません。
ライセンスを取得したクラウドファンディング仲介業者が株式発行を仲介することになります。
主な事業者は以下の通りです。
- ファンディーノ
- イークラウド
- ユニコーン
2015年の金商法改正により株式型クラウドファンディングが解禁された後、仲介業者は2017年から業務を開始しました。その意味で、どの会社も業歴は浅く、スタートアップの募集仲介業者自身もスタートアップ企業と言えます。
株式投資型クラウドファンディング業界の動向
2022年には株式+新株予約権で25億円が株式投資型クラウドファンディングにより調達されました
市場規模
株式型クラウドファンディングの調達金額は、日本証券業協会が月次で公表しています。
近年はファンディーノ、イークラウド、ユニコーンの3社による仲介が大きくなっています。これらの3社は株式投資型クラウド仲介業者の主要プレイヤーと言えます。
株式投資型クラウドファンディングの募集総額の推移(2017~2022)
市場トレンド
2022年には、株式+新株予約権合計で25億円の調達がされました。足元で増減はありますが、2017年の業務開始から増加傾向にあります。
冒頭の記事の通り、政府のスタートアップ投資促進政策により、株式投資型クラウドファンディングへの個人投資家の投資上限が引き上げられることになり、社会的な関心度もますますあがっていくことが予想されます。
今後も株式投資型クラウドファンディングによる調達規模の成長傾向は続いていくものと想定されます。
株式投資型クラウドファンディングは誰が投資できる?
日本国内居住者であればだれでも投資ができます。ただし、特定投資家(プロ)と一般投資家で投資できる上限は異なります。
特定投資家(プロ投資家)とは?
金融市場が円滑に回っていくためには、①市場に参加する投資家を保護すること、②そして投資家の利便性を向上させることが政策の大きな柱になります。投資家保護の観点では、投資家は以下の二つの種類に区分されます。
- 特定投資家(プロ投資家)
- 一般投資家(個人投資家)
投資家保護をするということは、特定の投資行動を規制することを含みます。
投資の知識・経験がありお金も十分持っている人(プロ投資家)に対しては、一般投資家とおなじような投資行動規制はかけずに自由に投資してもらってよいのではないか、というのがプロ投資家と一般投資家を区分している基本的な考え方になります。
株式投資型クラウドファンディングにおいては、特定投資家の投資上限はありません。
一般投資家とは?
一般投資家=個人投資家になります。ただ、個人投資家であったとしても、投資経験がありお金を十分持っている人は「プロ成り」して特定投資家になることもできます。
株式投資型クラウドファンディングにおいては、一般投資家の一社あたり投資上限は50万円に制限されています。2024年に改正が予定される金商法においては、この上限が100万円に引き上げされます。
一般投資家にとっての株式投資型クラウドファンディングのメリット、デメリットは?
一般投資家にとってのメリットは以下のようにまとめられます。
- これまでアクセスできなかったスタートアップへの投資が可能になる
- 応援したいスタートアップに対してダイレクトに資金を提供できる
- 事業が成長したあかつきには、他の投資手段と比較して高いリターンを得られる可能性がある
一方でデメリットは以下のようになります。
- スタートアップの事業がうまくいかず清算する場合には元本分損失を被る可能性がある
- スタートアップは配当の源泉である利益は普通でないので、定期的な配当収入は入ってこない
- 売却したくなったときに、上場株式と比べて売却しにくい(流動性が低い)
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