スタートアップで活用される新株予約権の仕組みとは?活用のトレンドとあわせて解説✒️

スタートアップ企業の資金調達における普通株式と種類株式の活用については前回考察しました。

今日は、最近利用が拡大している新株予約権付社債について勉強しましょう。

目次

スタートアップ資金調達における新株予約権社債のトレンド

新株予約権付社債は普通株式・種類株式と並び立つスタートアップの資金調達手段の柱になります。調達の割合としては種類株式がもっとも大きく、新株予約権付社債はまだ小さいですが、トレンドとしては拡大基調にあります。

🔽スタートアップの資金調達内訳

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みずほがスタートアップ向けに新株予約権付社債の提供を拡大しています。

新株予約権付社債とは

  • 新株予約権付社債は、英語ではConvertible Notes(コンバーティブルノーツ、CN)といいます。株式に転換できる社債という意味です
  • 新株予約権付社債には、X円で株式一株に転換できるという転換価格が決められています

スタートアップからすると、最初は社債(借入金)になりますが、のちのち株式に変わる可能性があるということになります。

新株予約権付社債の発行について、スタートアップ視点では、

お金がないので利息は払いたくない

ということになります。一方で投資家視点からは、

お金はすぐには回収できなかったとしても、成長した時のアップサイドをもらいたい

という思惑があります。

このような双方の思惑を満たすようなものが新株予約権付社債です。スタートアップはお金がないので通常は利息は繰り延べられる(当面支払わなくてもOK)というアレンジがなされます。

繰り延べる利息は、Payment in Kind(払ったみたいな)=PIK利息と言われます。一定のタイミングで、元本+繰延利息を転換価格で割ることによって、株式に転換するケースが多いです。

新株予約権付社債は発行時は株式ではないので、株式持分計算で必要とされるバリュエーションは必要ありません。
この前学んだようにスタートアップのバリュエーションは難しいです。バリュエーションをやりたくない場合には、新株予約権付社債の発行が好まれるケースがあります。


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